私たちの日常業務において、生成AIを使わない日はもはや一日たりともありません。検索、要約、文書の添削から生成、さらには画像や動画のクリエイティブ領域まで。その活用シーンは留まるところを知らず、技術の進歩はまさに日進月歩です。昨日できなかったことが、今日は当たり前のように可能になっている。そんなスピード感の中で私たちは生きています。
これほど便利なツールが普及するにつれ、一つの問いが頭をもたげます。 「私たち人間の仕事は、いずれ全てAIにとって代わられるのだろうか?」 「AIがさらに進化したその先で、人間に残された役割とは何なのだろうか?」この問いについて、私は真剣に考え続けてきました。そして現時点で、このように考えるに至りました。
それは、「イノベーションや課題の解決策は、統計的な『正解』からは生まれない」ということです。
現在の生成AIの本質は、膨大な過去のデータを学習・分析し、そこから導き出される「最も確からしい答え」を提示することにあります。言ってみれば、それは究極の「統計的平均値」や「多数決の総意」のようなものです。仕組み上、AIは確率的に「最もありふれた正解」を優先して出力します。そこでは、ネット上の膨大なデータの中に確かに存在していたはずの「少数意見」や「異端のアイデア」は、圧倒的な多数派のデータの波に飲まれ、統計的なノイズとして切り捨てられてしまいます。
しかし、私たちが向き合っている現実はどうでしょうか。 少子高齢化、気候変動、教育や健康の格差。これらの難問に対し、過去のデータから導かれる「一般的な正解」を当てはめるだけで解決するならば、とっくに誰かが解決しているはずです。多くの人が努力してもなお解決できない問題。 そこには、平均化されたデータでは決して捉えることのできない、「何か」が潜んでいます。
AIが「ノイズ」や「誤差」として切り捨ててしまうような、ごく小さな歪みや違和感。しかしそれこそが、社会全体の問題を作り出している原因である可能性があるのです。統計の網からこぼれ落ちてしまう、この「見えざる何か」を洞察すること。 それこそが、今の生成AIにはできない、私たち人間に残された重要な役割ではないでしょうか。
そのアプローチとして、私たちは社会構造が内包する「フラクタル」な性質を重視しています。 一見、局所的で些細に見える歪みであっても、実はそれはより巨大なシステム全体の縮図であり、相互に深く結びついています。AIが「ノイズ」や「誤差」として処理してしまうかもしれない小さな予兆の中にこそ、社会全体を揺るがす問題の種があり、同時に解決への糸口も潜んでいるのです。
今の生成AIはあくまで過去のデータを分析した統計的なコメントに過ぎません。 だからこそ私たちは、AIという強力な武器で効率性を最大限に高めつつも、AIには見ることのできない「深層」に目を凝らさなければなりません。表面的な事象や統計データに惑わされず、その奥にある「本質的課題」を洞察すること。 小さな予兆から未来の変化を読み解き、先手を打つこと。これは今の生成AIにはできない、私たち人間にしかできない仕事です。
これからも 思考を止めることなくこの「本質」に向き合い続けることで、調和の取れた持続可能な未来の実現に貢献していきたい、私たちはそう考えています。
